最近では伝統的な(日本)企業が、若い世代のリーダーシップの下で、新たな、そして時には驚くような方向を目指すようになった。

 昨今のメディアは、企業文化について論じる際に、Google、Facebook、Netflixといったテクノロジー企業を取り上げがちだが、日本に関して言えば、いまも製造業が経済を支えている。第二次世界大戦後の数十年間において日本経済の成長を支えたのは、品質へのこだわりと強固な労働倫理であった。

 それが1980年代に頂点に達し、日本を米国に続く世界第二の経済大国へと押し上げた。しかし、1990年代初めにバブルがはじけたことで、この目覚ましい経済成長は突如として終わりを告げる。それ以降、日本企業はビジネス手法を一新させ、絶えず変化し続けるグローバル経済の中で地位の確立に努めている。

 上智大学国際教養学部で国際経営を専門とするパリッサ・ハギリアン(Parissa Haghirian)教授は次のように述べている。「バブルがはじけたあと、日本企業は外部環境の変化によって、より大きな圧力を受けるようになりました。グローバリゼーションの本格化です。日本よりも製造コストの低い中国が製造業の主要国となり、様々な嗜好をもつようになった消費者は多様でスタイリッシュな製品を求めるようになりました。古典的なメーカーの戦略はもはや機能せず、良い製品を作って売るだけではやっていけなくなったのです。」

 それでも変わらないものが一つあった。それは、高品質の製品を作ることに対する日本のひたむきさだ。とハギリアン教授は語る。「日本企業の業務と製造プロセスは常にトップレベルにあります。日本企業は固有の製造システムを確立し、それは今やグローバルスタンダードになっています。プロセス指向と細部へのこだわりが、この強みを支えているのです。」 Nitto-Denko-Scientist

戦略的な方向転換

 ビジネスにおけるブランディングおよびマーケティングをテーマとするグローバル誌『キャンペーン』の編集長であるデイビッド・ブレッケン(David Blecken)氏は次のように話している。「最近では伝統的な企業が、若い世代のリーダーシップの下で、新たな、そして時には驚くような方向を目指すようになりました。しかし、こうした新しい動きは行き当たりばったりのものではありません。扱う製品が変わったとしても、そうした動きの多くはたいてい、その企業の経営理念に根差しています。」

 経済環境が変化する中においても発展を遂げてきた伝統的な日本企業の一例が、1918年に創立された日東電工株式会社(以下「Nitto」)である。社名は決してグローバルな印象を与えないが、Nittoは、1世紀近くにわたり製造業として成功を収め、現在では70を超えるグローバルな産業分野に1万3,500種類の製品を供給している。これまでの実績を生かしつつ、同社が「Green、Clean、Fine」と総称する環境/新エネルギー/ライフサイエンスの事業領域で積極的に事業の拡大を図っている。

髙﨑秀雄
日東電工株式会社 代表取締役 取締役社長
(CEO兼COO)

 Nittoの髙﨑秀雄社長は次のように語っている。「当社の成功の理由を一言で表すのは難しいですが、変化を、新たな価値を提供してお客様の信頼を勝ち取るためのチャンスと捉えてきたことが成長を続けてこられた大きな要因ではないでしょうか。」

 クリエイティブエージェンシーのウルトラスーパーニュー東京オフィスでシニアアナリストを務めるレオナルド・リー(Leonard Le)氏は、「日本式イノベーション」とは、製造技術の大規模なブレークスルーだけではないと指摘する。「私が現場で目にしているのは、別のタイプの日本式イノベーション、つまり、海外で起きている派手で大きなイノベーションの陰で見過ごされているが段階的に進化しているものです。そうした変化はささやかだったり緩やかだったりしますが、イノベーションとして劣っているわけではありません。」

地域に根差し、世界を見据える

 Nittoが展開する製品群は、まさにリー氏が言及するタイプのイノベーションである。電気絶縁テープから出発したNittoは、現在では、数多くの業界に最先端技術を用いた製品を供給している。その例として、スマートフォンに用いられる偏光フィルムや透明導電フィルム、自動車に用いられる機能性材料が挙げられる。また、Nittoは核酸医薬などの医薬品の開発も手掛けている。核酸医薬は化学合成で作られ、これまで不治の病とされてきた病気を治療できる可能性を秘めており、その市場は、現在成長を遂げている。 Nitto-Denko-Scientist

 間もなく創業100周年を迎え、新世紀に入るNittoは近年、「Innovation for Customers」を新しいブランドスローガンに掲げた。「この理念に沿って、市場に、そしてお客様に、イノベーションを届けていきたい。そして、お客様の事業におけるイノベーションも促していきたいと考えています」と髙﨑氏は語る。

 Nittoのような企業は、ビジネスをグローバルに展開し続けていく中で、新たな課題に直面するだろう。ブレッケン氏は次のように指摘している。「多くの日本企業にとって何より難しいのは、日本企業ではなくグローバル企業として物事を考えることです。日本企業も、成長は国内市場ではなく海外市場からもたらされる可能性が高いことは理解していますが、依然として、まず国内市場に重点を置き、それを『グローバル』に応用しようとする傾向があります。最初からグローバルなマーケットに焦点を当てる方がうまくいくはずです。」

日本式イノベーションを輸出する

 2018年に創立100周年を迎え、さらにその先を見つめるNittoは、優れた日本式イノベーションに国際的な要素を加えようとしている企業の一つである。上席執行役員グローバル経営企画統括部長である山下潤氏は次のように話している。「当社は、お客様のために、そしてお客様と共に、不断の努力を続け、お客様の期待を超える製品とサービスで、『こんなものが欲しかった』という声を引き出してきました。」

 Nittoはこれからも変化をチャンスに変え、世界中の顧客の生活に新たな価値と快適さを届けるイノベーティブな企業として前進し続けていくと、髙﨑氏は力を込めて語った。

文=橘高ルイーズ・ジョージ(Louise George Kittaka)

contributed by BBC Storyworks

BBC Story Works
本稿は、当初BBC.comの広告記事として公開されたものであり、日東電工株式会社の依頼によりBBC Advertisingの商用コンテンツ部門であるBBC StoryWorksが制作したものです。

Nittoがロンドンで開催されるATPファイナルズのタイトルスポンサーに

Nittoは、100年の歴史の中で培った技術を活用し、世界中で革新的な事業を展開してきた、多様な材料を供給する日本の大手製造企業である。独自の基幹技術に基づく1万3,500種を超える多様な材料を、エレクトロニクス、輸送、インフラ、環境、ライフサイエンスなど70を超える業種に提供している。また、Nittoは、ロンドンで開催される「Nitto ATPファイナルズ」のタイトルスポンサーである。Nittoは、チャレンジへの情熱という共通点があるイベントのサポートに胸を躍らせている。

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