粘着剤は、下図に示されるような原材料から構成されています。これらの原材料を組み合わせて、目的に応じたさまざまな機能を持つ粘着剤をつくり出し、粘着テープにしています。
粘着テープは、瞬間に接着するという特性と、事前に任意の形状に加工しておくことが可能であるという特徴を持つため利便性が非常に高く、液晶テレビ、携帯電話、車など、産業界で幅広く使用されています。
たとえば、自動車の部品のように永久的に接着したい場合は強接着に、携帯電話の表示窓の保護シートの場合にははがしやすくてしかも粘着剤が残留しないように、偏光板の接着には透明で耐候性があるように、車の内装材には低VOC(揮発性有機化合物)になど、必要な機能を達成するために、使用する原材料の最適配合設計を行っています。また、特殊な設計としては、常態では強接着、熱やUV光により弱接着に変化する粘着剤があり、シリコンウエハやセラミックスの加工などに使用されています。
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粘着剤の材料
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分類 | エラストマー | 特徴 |
ゴム系 | 天然ゴム |
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アクリル系 | アクリル酸エステル
共重合体 |
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シリコーン系 | シリコーンゴム |
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ウレタン系 | ウレタン樹脂 |
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(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重合した時、合成されたポリマーのガラス転移点(℃)は、下図に示されるように(メタ)アクリル酸エステルモノマーのR(アルキル基)の炭素数の違いにより異なります。
この性質を利用して目的とするガラス転移点(℃)のアクリル粘着剤を合成することができます。
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モノマー | 構造式 | Tg (℃) | |
主モノマー | アクリル酸エチル | CH2=CHCOOC2H5 | -20 |
アクリル酸ブチル | CH2=CHCOOC4H9 | -55 | |
アクリル酸2-エチルヘキシル | CH2=CHCOOC8H17 | -70 | |
アクリル酸イソノニル | CH2=CHCOOC9H19 | ||
コモノマー
(凝集力の向上) |
酢酸ビニル | CH2=CHOCOCH3 | 32 |
アクリルニトリル | CH2=CHCN | 97 | |
アクリルアミド | CH2=CHCONH2 | 165 | |
スチレン | CH2=CHC6H5 | 80 | |
メタクリル酸メチル | CH2=C(CH3)COOCH3 | 105 | |
アクリル酸メチル | CH2=CHCOOCH3 | 8 | |
官能基含有モノマー
(架橋点の導入) |
アクリル酸 | CH2=CHCOOH | 106 |
アクリル酸ヒドロキシエチル | CH2=CHCOOC2H2OH | ||
アクリルアミド | CH2=CHCONH2 | 165 | |
メタクリル酸グリシジル |
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