ブックタイトルNittoグループ統合報告書2019

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概要

Nittoグループ統合報告書2019

戦略プラスチック光ケーブルの強みと特長プラスチック光ケーブルの各業界への貢献例次代を支えるイノベーション技術・製品の特長Nittoは、2017年10月、慶應義塾大学との共同研究センターを開設しました。同大学で長年研究されてきたフォトニクスポリマー技術とNittoグループの押し出し成形技術を融合し、フレキシブルで軽く、耐熱性に優れ、ノイズが発生しにくいといった特長も兼ね備えた新しいプラスチック光ファイバーの開発を進めています。また、電気基板と光導波路を複合した光電混載基板も同時に開発しており、光ファイバーと組み合わせることで、より薄く小型で精細な光ケーブルの生産が可能になります。IoTの普及や8K放送の実用化に伴い、次世代の高速大容量通信の実現が急務となっています。8Kテレビのほかデータセンター、医療機器、自動運転などさまざまな分野において、Nittoのプラスチック光ケーブルの採用を目指しています。Nittoの貢献プラスチック光ケーブルのフレキシビリティや有線ならではの高いセキュリティを活かすことで、住宅やオフィス、病院などの住空間、航空機や自動車などの輸送機器、ロボット、さらには宇宙空間などあらゆる場において大容量高速通信が可能となります。Nittoはこのプラスチック光ケーブルの開発・量産を進めることで、世界中の人々をいつでも安心安全につなぐことができる情報通信社会の実現に貢献します。すでにパイロットラインでの試作を行っており、早期量産開始を目指しています。プラスチック光ファイバー・ケーブルNittoの分子標的型核酸医薬品技術・製品の特長Nittoは、siRNA※1とドラッグ・デリバリー・システム(DDS)の研究開発にも取り組んでいます。siRNAはタンパク質の設計図であるmRNAに作用する新しいタイプの医薬品で、これまでの薬剤では狙うことができなかった、病気の原因となるタンパク質の産生そのものを抑制することが可能になります。DDSは、リポソーム※2の中に核酸医薬を内包し、必要な量の薬剤を、必要な部位に送達させることが可能になる技術です。Nittoグループの粘着技術とポリマー設計技術を融合して生まれた核酸合成用担体NittoPhaseRは、核酸医薬の生産に不可欠な技術で高純度・高収量の核酸合成を可能します。Nittoの貢献これまで培ってきた核酸創薬技術と、DDS技術を活かし、臓器線維症の治療薬の開発に取り組んできました。2016年11月には、進行性非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と肝硬変に対する核酸医薬品「ND-L02-s0201」の開発・製造および販売に関して、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と独占ライセンス契約を締結しました。これにより、開発スピードが上がり、患者様に少しでも早く治療薬を届けることができると期待しています。また、難治性の疾患である肺線維症に対し「ND-L02-s0201」の治験第2相試験を実施中です。これまでの臓器線維症治療薬の開発に加え、新たにがん分野への展開も図っています。2019年3月には、siRNAをがん組織へ送達する新規リポソームを用いて、KRAS変異がんに対する核酸医薬品の治験第1相試験を米国で開始しました。また、2019年4月には、地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンターと共同で同センターの研究所内に「Nitto核酸創薬共同研究部」を設立し創薬研究に着手しました。核酸医薬は、DNAやRNAの構成成分である核酸からなる医薬品で、病気の原因となる遺伝子の発現に直接作用することにより、これまで治療が難しかった病気の治療が可能になると期待されています。Nittoは、核酸医薬の製造受託分野でのトップシェアを有するとともに、線維症やがんなどに対する革新的な治療薬の研究開発を行っています。核酸医薬高速、大容量、細線・軽量大容量通信の実現で配線のスリム化が可能高耐熱より高温に耐えられる新材料から開発しており、耐熱性での差別化が可能加工性、安全性破損リスクが低いため、簡単に施工・敷設が可能・ 高精細表示が可能な8K内視鏡カメラによる進化した手術・ 電波ノイズの影響を受けない正確な情報伝送医療機器・ 通信の高速化・ 従来の電気ケーブルからの置き換えによる軽量化・ 振動や曲げに強く安全性を向上・ フレキシビリティを活かした自由度の高い敷設を実現・ 施工の簡易性を活かしたトータルでのメリット・ 情報量の多い8K信号を1本のケーブルで非圧縮伝送することによる省スペース化輸送機器ホームネットワーク(屋内配線) ディスプレイ・映像※1 siRNA(small interference RNA)は、21~23残基の短鎖二本鎖RNAから構成され、標的遺伝子の転写産物の相当部分を切断することにより、遺伝子の発現を抑制。※2 リポソームは、細胞膜や生体膜の構成成分であるリン脂質の二重層膜のカプセル。キャリア薬を運ぶ船標的化剤ナビゲーター薬siRNA33 Nitto Group Integrated Report 2019 34