「進化するNittoのGlobal Niche Top™戦略」
#2 NICファイナリストに聞く
アイデア集め新規事業を創出する大会
「Nitto Innovation Challenge」
(左から)ニライ・ヘルワジャオウルさん・Nitto Bento/矢野威さん・分離技術研究センター/
山内玲奈さん・メディカル事業部信頼性保証課
「進化するNittoのGlobal Niche Top™戦略」
#2 NICファイナリストに聞く
(左から)ニライ・ヘルワジャオウルさん・Nitto Bento/矢野威さん・分離技術研究センター/
山内玲奈さん・メディカル事業部信頼性保証課
日東電工(Nitto)はESG(環境・社会・企業統治)を経営の中心に置き、Global Niche Top™(グローバルニッチトップ)戦略を加速させている。同戦略を紹介するシリーズ#2は同社の新規事業創出大会「Nitto Innovation Challenge(NIC)」のファイナリスト3人に、大会に参加した感想、新規事業を創出するNittoの企業文化などを聞いた。
過去最高、1500を超えるエントリー
最終プレゼンは6チーム
――新規事業創出大会「Nitto Innovation Challenge」とは、どのような取り組みですか。
矢野威さん
(2019年新卒入社)分離技術研究センター
「Nitto Innovation Challenge」は、新規事業創出のためのアイデアをグローバルに募る取り組みです。今年5回目を迎え、エントリー数は過去最高で1500件を超えました。その中から選ばれた6チームが最終プレゼンを行い、事業化の可能性が感じられるチームが「NIC Final賞」に選ばれ、事業化に向けて活動を継続します。
「環境貢献製品(PlanetFlags™)」「人類貢献製品(HumanFlags™)」ひいてはニッチトップ製品創出を促進する仕組みの一つです。
矢野威さん
(2019年新卒入社)分離技術研究センター
――現在の担当業務、「Nitto Innovation Challenge」に応募した動機とエントリー内容を教えてください。
私は食品メーカーから転職し、現在メディカル事業部の信頼性保証課に所属しています。担当業務は、医薬品の副作用情報の収集、関連資材の作成、医療機器を含めた国内製品の維持管理、海外導出などです。
山内玲奈さん
(2020年キャリア入社)メディカル事業部信頼性保証課
「Nitto Innovation Challenge」には、友人から不妊治療のつらさを聞いたことをきっかけに、Nittoの技術を用いて何か解消できないかと考え、不妊治療関連の医薬品を提案しました。不妊治療には身体面、精神面、経済面など様々な負担があります。特に時間管理などが煩わしく、生活に制限が生じることに着目しました。
Nittoの技術を生かしテープ剤をつくれば、QOL(生活の質)の向上にもつながります。本テーマの薬剤は皮膚からの吸収が難しいと言われていますが、何とか実現させたいテーマです。
山内玲奈さん
(2020年キャリア入社)メディカル事業部信頼性保証課
2012年にNittoグループに仲間入りしたNitto Bento(ベント)で、研究開発を担当しています。普段は、トルコのイスタンブールにあるオフィスで勤務しています。Nitto入社前に包装業界と自動車業界で培ったフレキシブルフィルムやポリマー等の知識が、Nittoでの仕事に生かせています。
ニライ・ヘルワジャオウルさん
(2020年キャリア入社)Nitto Bento
私は2度目の挑戦です。今回は、授乳のとき苦労した自分の経験を基に、授乳パッドを提案しました。既存のパッドは母乳漏れを吸収するもので、授乳後にクリームを塗り、乳頭組織を保湿・保護する必要があります。そこで、この2つの機能を併せ持つ授乳パッドを考案しました。
新生児を持つお母さんの負担を軽減するとともに、バイオベースの材料を使うことで、赤ちゃんの口に入っても安心して使用できる設計です。
ニライ・ヘルワジャオウルさん
(2020年キャリア入社)Nitto Bento
私は研究開発部門の分離技術研究センターで、工場から排出される溶剤廃液から溶剤成分のみを回収できる分離膜を開発しています。
好奇心旺盛な性格で、「Nitto Innovation Challenge」には毎年応募しています。ファイナリストになるのは昨年に続き2度目です。今回のテーマは、窒素化合物。二酸化炭素(CO2)の問題は皆さんよくご存じですが、窒素化合物も世界各地で大気や水、土壌汚染を招き、生物多様性にも影響を及ぼしているんです。今年から国連環境計画(UNEP)主導で、国際ルールづくりの検討も本格化しているため、農業や畜産業、工業で排出される窒素化合物を回収するフィルムを提案しました。
事業化の可能性が感じられるテーマに審査員が札を上げる。最終プレゼン大会で
社内外のメンターが伴走し
アイデアをブラッシュアップ
――「Nitto Innovation Challenge」に参加した感想、この取り組みの魅力を聞かせてください。
不妊治療関連の医薬品を提案 山内さん
応募しやすい点は大きな魅力ですね。Nittoの社員なら年齢や職種に関係なく応募できるので、開発や研究に無縁の私でもチャレンジできます。最終プレゼンの前の「アクセラレートプログラム」は、社内外のメンターが伴走してくれる仕組みで、多くの人に助けられました。私は医師へのヒアリングや市場調査などから情報収集し、採算性があるかという点も含めアイデアをブラッシュアップしていきました。
最初は不安でいっぱいでしたが、通常業務では得られない社内外の人たちとのつながりができたことも、貴重な経験です。
不妊治療関連の医薬品を提案 山内さん
「Nitto Innovation Challenge」はアイデアの種まきに絶好の機会です。今年は昨年とは全く違うテーマで応募しましたが、社内外の人たちからいろいろなアドバイスをもらえる点は、このコンテストの魅力の一つだと思います。
新しい「授乳パッド」を提案 ニライさん
私は研究開発が専門なのでマーケティングの知識がなく、多くのことを勉強しなくてはなりませんでした。とても大変でしたが、楽しみながら新規ビジネスを創出する方法を学ぶことができました。
今回の経験で得た新しい視点は、今後の研究開発にきっと役立つはずです。
新しい「授乳パッド」を提案 ニライさん
アイデアを事業まで育てる
「Nitto流イノベーションモデル」
――ニッチトップ製品が生まれる環境や社風を、どのように感じていますか。
Nittoには、「0→1→10→100」という「Nitto流イノベーションモデル」があります。アイデアを事業まで育てていくプロセスで、「0」はアイデア、それがテーマになると「1」、製品化して「10」、事業化まで進むと「100」という独自の考え方です。「Nitto Innovation Challenge」は「0→1」のフェーズにあたります。
「窒素問題」の解決策を提案 矢野さん
アイデアを生むという点では、Nittoは多種多様な製品を手掛けているので、常にいろいろな業界の情報が入ってくることが強みになっています。新規提案の種は周りにいくらでもあり、ニッチトップ製品を生み出しやすい環境だと実感しています。
「窒素問題」の解決策を提案 矢野さん
Nittoはお客さまの要望一つ一つに応えようと努力しながらきっちり進めていく会社です。だから、高い品質の最終製品を提供できるのだと思います。
チャレンジを楽しむ文化が、社内全体に根付いていると感じます。上長との面談はもちろん、普段の会話でも「次は何にチャレンジしていこうか」が話題になります。
ESGは企業にとって不可欠
明確な方針の下、ゴールに向け一丸
――NittoのESGへの取り組みをどのように捉えていますか。
グローバルな視点からも、今やESGは企業にとって不可欠です。NittoがESGを経営の中心に置いていることにとても共感しますし、私自身、何ができるかを考え積極的に貢献していきたいですね。
2年ほど前に社長の髙﨑さんが、「環境貢献製品(PlanetFlags™)」か「人類貢献製品(HumanFlags™)」のどちらかに資する新規テーマのみにリソースを投下すると宣言しました。トップが明確な方針を示してくれたので、ゴールに向かって一丸となって取り組みやすくなったと実感しています。
同感です。私の所属するメディカル事業部でも、原材料や製造工程の見直しなど、2030年ありたい姿「なくてはならないESGトップ企業」に向けた投資が進められていると感じています。
チャレンジしやすい環境
旺盛な好奇心と柔軟な発想が強み
――就職、転職活動中の人に、Nittoの魅力や強み、働く環境などを伝えてください。
会社としてESGに配慮しているので、私自身も安心して働ける、信頼できる会社です。Global Niche Top™戦略を推進し、お客さまにとってなくてはならない存在になっている点は、大きな強みです。
いろいろな制度が充実しているので、2歳の子どもがいる私も、ワークライフバランスを大切にしながら多様な働き方を選択でき、チャレンジを後押ししてくれています。
Nittoの一番の強みは、社員全員が好奇心旺盛で発想が柔軟だということ。例えば、研究開発で行き詰まったときには大胆な発想が必要なのですが、ちょっと奇抜かなというアイデアを提案しても、無理だと突き返されることはありません。すんなり受け入れられ、それが解決につながったことが何度もありました。アグレッシブにアイデアを出したい人には、ぴったりな会社だと思います。
「Nitto Innovation Challenge(NIC)」
最終プレゼンを終えて
最終プレゼン大会の動画
※「Global Niche Top」「Area Niche Top」は、日東電工の登録商標です。