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第2章 粘着剤が出来るまで 天然ゴム(2)

テープの歴史館

天然ゴム(2)粘着剤誕生の立役者/野生から栽培ゴムへ

手間だった、野生ゴムの精製

マッキントッシュによるゴム引布の成功を契機として、ゴム工業はイギリスを中心に急速に発展しました。そこで、ポイントとなったのが、「いかにゴムをじょうずに扱うか」です。
 当時のゴムは、野生のゴムの樹液が固まったものが主流でしたから、小石や砂などを含んだ硬いかたまりです。これを精製して、きれいなゴムだけにするのは、とても大変な作業でした。

まず、ゴムのかたまりをお湯の中に3~5時間つけて軟らかくします。あまり長くつけるとベタベタして取り扱いにくくなるため、そのさじ加減が肝心でした。
 軟らかくなったかたまりを、取り扱いやすい大きさに切断します。これを機械(クラッシングロール)で砕いていくのですが、同時に上から水を注いで石などを取り除きます。さらに次の機械(ウオッシュングロール)で細かく砕いて上から強い圧力で注水すると、ほとんどのゴミ類は取り除かれます。残ったゴムの小片をロールでシート状にし、乾燥室でゴムを劣化させないように乾燥させます。
 これはとても手間でした。また、ゴムの需要が高まるにつれ、なんとかゴムの木を栽培しようという動きが出始めました。

栽培ゴムの始まりは、密輸

しかし、良質な野生ゴムの木があるブラジルでは、ゴムの木の国外持ち出しを禁止していました。1876年、イギリス人がゴムの種子をこっそり持ち帰り、成長した22本がマレーシア半島の栽培ゴム園の母樹となりました。1900年には栽培ゴム4トンが初めて市販され、栽培ゴム発展のきっかけとなりました。
 栽培ゴムは、ゴムの木に傷をつけて樹液だけを採集しますから、石などは入っていません。これでゴムの扱いは格段に楽になり、ゴム製品の進歩にも役立ちました。今では、天然ゴムは、ほとんどがヘベア・ブラジリエンスという栽培ゴムです。

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