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第4章 工業の世界で マスキングテープ(1)

テープの歴史館

マスキングテープ(1)最初の工業用粘着テープ/求める声

車体塗装のためにまず使われたのは、医療用テープ

粘着テープが最初に工業分野で使われたのは、自動車塗装工程でのマスキング用途です。マスキングとは、塗装の際、塗らない部分に被い紙をはりつける作業です。
自動車の原形がドイツで誕生したのは1885年のことですが、この新しい移動手段は、1908年にアメリカで安価なT型フォードが出ると、一気に大衆化を始めました。

1920年代前半、アメリカにおける自動車生産のメッカであるデトロイトは、前代未聞の活況にわいていました。その中で悩みを抱えていたのが、自動車の車体を塗装する職人たちです。
当時、車体塗装には、かなりの注意が必要でした。というのも、車体塗装は下塗り、上塗りなどがありますが、さらにツートンカラー用仕上げや、車体の一部だけを塗装する場合があります。それを、きれいに分けて塗るのは大変だったのです。

その頃、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の一代理店では、医療用テープ(外科用の布製粘着テープ)が異常な勢いで売れていました。調べてみると、テープが使われていたのは自動車業界。ペイントマスクとして使っていた紙のシートを、医療用テープで固定して、作業を合理化していたのです。

マスキング用の新しい粘着テープを求める声


マスキング作業。塗装したくない部分を被うため、被い紙を粘着テープで貼り付けます。
ところが、医療用テープは、もともとマスキング用にはつくられていませんから、さまざまな不都合がありました。
皮膚を傷めないように粘着力を弱くしているため、被い紙の端をきちんと固定できず、隙間から塗料が内部に侵入してしまうのです。あるいは、布目の間から塗料や溶剤が浸透して粘着剤を侵し、剥がす際に粘着剤が車体にこびりついたり、すでに塗られている車体塗料まで剥がれたりすることもありました。さらに、医療用テープの布が厚いため、塗料の塗り分け境界線がシャープに仕上がらないという不満もありました。
こうした問題点を解決する新しい粘着テープが、切実に求められていました。

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