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第4章 工業の世界で マスキングテープ(4)

テープの歴史館

マスキングテープ(4)最初の工業用粘着テープ/和紙

日本人の肌になじみ、薄手でも強度がある和紙

日本でも、マスキングテープのもととなったのは、テープ状絆創膏でした。
 もともと日本では、使用前に火鉢などで温めてから患者の肌に貼り付ける膏薬が早い時期から使われていました。この膏薬の支持体は美濃紙などの和紙でした。特に、四国特産で繊維の長い「ミツマタ」などを原料とした膏薬用原紙は、厚さ、強度、しなやかさなど、日本人の肌になじむため、古くから愛用されていました。

紙に粘着剤を塗ったテープ状絆創膏の登場は大正のはじめと思われますが、確かな文献資料としては、1918年(大正7年)、紙絆創膏に関する実用新案特許が日進合資会社の権利として登録されています。「日本紙ニゴム、ソノ他ノ薬品ヲ塗布シ、ソノ裏面ニ パラピン ヲ塗布シタ絆創膏」と請求範囲に書かれており、ミツマタ紙を支持体としていました。

自動車から住宅の塗装まで、多方面で活躍


重ねることで、色合いを楽しむことができるのも、和紙の特長
こうした背景のもと、マスキングテープも、日本では最初から和紙を使ってつくられていきます。
 和紙によって粘着テープをつくるうえでの技術的課題は、クレープ紙の場合と本質的には違いがありません。ただし、和紙は薄手ながら強度があるため、粘着剤を塗る前に含浸処理(紙にニカワなどを含ませること)をする工程はとられませんでした。和紙の繊維の間に直接粘着剤を含浸させながら、同時に粘着剤の層も形成できたのです。
 もっとも、背面(テープの、粘着剤がついていない面)には、天然樹脂セラック、合成樹脂ベークライトなどが塗られました。これは、テープを重ねて巻き付け、使うときに背面が毛羽立たないように、また、塗料や溶剤が浸透しないためのものでした。しかし、セラックやベークライトは硬すぎるために、現在では柔軟性のある各種合成樹脂が幅広く応用されています。

日本で生まれた和紙のマスキングテープは、日本の紙テープの代表品種であり、今では自動車の塗装だけでなく、建築分野の塗装など多方面で活躍している日本独特のテープです。

コラム:家庭や芸術でも活躍!

自動車の塗装用に開発されたマスキングテープですが、その使い勝手の良さから、建築関係の塗装やシーリング、床材の保護などの分野でもすぐに使われるようになりました。
 さらに、最近では、和紙や紙のマスキングテープが持つ「きれいに剥がせる」「文字を書ける」「色がきれい」「手でちぎれる」などの特徴を活かした新しい使われ方が、工業用途とはまったく関係ない、一般家庭や芸術分野で注目を集めています。その一例を紹介しましょう。

  • 手作りジャムのビンに、中身を書いたマスキングテープを貼る
  • スケジュール表に、予定を書いた、色とりどりのマスキングテープを貼る
  • いろんな色のテープを使って、オリジナルのカードをつくる
  • 和紙テープを使って、ちぎり絵の作品をつくる

この他にも、あなたのアイデアで、便利な使い方、楽しい作品を考えてみませんか?

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