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つく仕組み

テープの科学館

つく仕組み粘着テープはなぜ「つく」のでしょうか?

「つく」ためには、分子レベルで近づくことが必要です

粘着テープは「つく」ことによって発展してきましたが、粘着テープが他の物に「つく」のは、粘着剤がついているからです。では、粘着剤はなぜ「つく」のでしょう。

物と物とが「つく」ためには、分子レベルで「近づく」ことが必要です。接近すると分子と分子の間に電気的な力が働き、お互いを引き付けあうのだと言われています。これを「分子間力」と言います。

しかし通常、物と物とをいくら近づけても、くっつきません。それは、固体と固体とは、分子が引き合う距離まで近づけないからです。分子間力が働くためには、3~5オングストローム(1オングストロームは1億分の1cm)の距離まで近づくことが必要です。これは、髪の毛の太さの10万分の1以下という距離です。しかし、固体の表面は、分子レベルで見るとデコボコで、いくらぴったり重ねても分子間力が働く部分はごくわずかです。そのため「つく」ことができないのです。

粘着剤が固体と固体との隙間を埋めて、「つく」ことを可能にします

 「つく」ためには、固体の表面にあるデコボコを埋めることが必要です。それができるのは、液体または液体に近い物質です。
 たとえば、2枚のガラス板の間に1滴の水を垂らすと、ガラス板はぴったりと貼りつきますね。これは、水がガラス板表面のデコボコを埋めるからです。これを「濡れた」状態と言います。水は乾燥したり流れたりと不安定ですが、「濡れた」状態を安定して保っているのが、粘着剤なのです。

粘着剤は柔らかいため、押し付けたときに、固体のデコボコの山に突き刺さることで「濡れた」状態を実現しています。たとえば、生け花で使う剣山(けんざん)を固体に、餅を粘着剤にたとえてみましょう。固い餅だと剣山は刺さりませんが、柔らかい餅は剣山に突き刺さります。こうして「つく」ことができるというわけです。

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 実は、粘着剤でも吸盤でもなく、ヤモリの足裏には非常に細い毛がびっしり生えています。種類にもよりますが、1本の指に650万本、1cm2の面積に20億本と言われています。
 ガラス面といえども、分子レベルで見ると、デコボコです。ヤモリの細かい毛が、このデコボコに入り込み隙間を埋めることで、分子間力が発生し、つくことができるのです。この原理を応用した、新しい粘着テープの開発も世界で進められています。

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 ひっかけることで「つく」ことを可能にしているものもあります。<マジックテープ(R)>(株式会社クラレの登録商標)などでおなじみの面ファスナーは、動物の毛などにつく植物の種からヒントを得てつくられ、片面がループ状、もう片面がフック状になっています。

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