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第6章 合成高分子がもたらした転機 第6章 合成高分子がもたらした転機 表面保護用粘着テープ(3)

テープの歴史館

表面保護用粘着テープ(3)あらゆる産業における表面保護テープへ

このテープを貼ると、より深いプレス加工が可能に

時は、まさに高度成長時代。重厚長大と呼ばれる産業分野が活況を呈し、鋼板、ステンレス板の需要はうなぎのぼりに増大していました。その中で、自動車産業用に開発された表面保護用粘着テープは、プレス加工用としてまたたく間に普及します。

1964年頃には、曲げ加工やロールフォーミング加工といったあらゆる金属塑性加工に、このテープを利用しようという動きが見えはじめました。表面保護用粘着テープを貼ってプレス加工すれば、鋼板単独の場合よりも深く絞れることがわかったからです。これは、当初、予想もしなかった結果でした。鋼板にはさまざまなグレードがありますが、絞り特性があがれば価値も大きく跳ね上がります。

あらゆる産業に使えるようにと始まった、改良への挑戦

また、当時は天然ゴム系の粘着剤を使っていましたが、耐候性が弱いという欠点があり、光を遮断する目的で、屋外用は黒、室内用には白などの色がテープについていました。これでは金属面が見えず、傷の有無がわからないという問題もあり、再び表面保護用粘着テープの改良が始まりました。

しかし、さまざまな分野からの要求を満たそうとすると、その開発目標も複雑になります。たとえば、

  • 建築外装用のステンレスやアルミサッシの表面に貼り、加工の際に使用するだけでなく、建築が完成するまで傷防止用に貼っておけるもの。そのためには、1年間は、屋外で貼り付けても品質が劣化しないだけの耐候性を持ち、剥がす時も粘着剤が残らずきれいに剥がすことができること
  • 鋼板表面の傷の有無判定のため、粘着テープが透明であること
  • 流し台や浴槽、保温ポットなどのように、複雑で深い絞り加工ができ、2段階絞りが可能であること
  • 鋼板単独で使用していた金型でもそのまま使えるよう、粘着剤の厚さが5ミクロンで、基材のビニルフィルムは50ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミクロン)以下であること

など、当時の技術から見ればほとんど不可能とも言えるものでした。

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