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第6章 合成高分子がもたらした転機 両面粘着テープ(2)

テープの歴史館

両面粘着テープ(2)利点が多い両面粘着テープ

両面粘着テープは「縁の下の力持ち」

私たちが一番よく目にする両面粘着テープと言えば、事務や文具用でしょうか。たとえば、封筒を封かんするための両面粘着テープは、剥離ライナーを剥がすだけできれいにつき、とても便利です。
住宅のカーペットやフロア材・人工芝の固定にも両面粘着テープが使われています。こうした広い面積を接着する場合には、接着剤を塗るより、作業が楽です。
しかし、両面粘着テープは、「接着」の役割を果たすと、見えなくなってしまいます。まさに「縁の下の力持ち」なのです。家庭内でも、化粧板など装飾用建材の固定、木工家具のつき板の接着、鏡の固定、階段の滑り止めなど、見えない所で使われています。

細かな部分や複雑な形状でも、均一の厚さで接着可能

細かな部分や、形状が複雑な部分の接着も、両面粘着テープの得意分野です。
たとえば、ICカードは複雑な形状のものを一定の厚さで精密に貼りあわせてできます。ここでは、厚さ精度にすぐれた両面粘着テープを、適した形状の金型で打ち抜いて用います。こうした薄葉部品の分野では、両面粘着テープ自身が部品の強度を支えている場合もあり、単なる補助材料ではなく構成材料だと言えます。
液晶ディスプレイは、偏光板や位相差板などが貼り合わさってできています。光の透過が必須条件ですから、ゴミや気泡が入っていない両面粘着テープが用いられています。
このように、均一で精密な接着もできるのが両面粘着テープの特長です。

発泡体の利用によって、接着剤を超えた両面粘着テープ

ユニークな例としては、発泡体を支持体に用いたものもあります。ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ビニルフォーム、スチレンフォームなどを使用しており、曲面や凹凸面での接着で威力を発揮しました。
自動車や家電製品の銘板固定は、平らな面への固定ばかりではなく、むしろ曲面や凹凸面の方が多いのです。こうした場合、接着剤では面に密着した固定が難しく、接着強度も低下してしまいます。かといって、ネジやビスは作業が困難なうえ、ネジ穴などからサビが発生する原因にもなってしまいます。そこで、さかんに利用されるようになったのが、発泡体両面粘着テープです。
発泡体はどんな面でも柔軟に接することができ、そのうえ、断熱や防音、防振、気密などの効果もありました。
発泡体両面粘着テープは、住宅の窓際シール、内外装パネルの断熱・防音、冷暖房機などの断熱材など、数え切れないほどの分野で活躍しています。

こうして見てみると、両面粘着テープは、単なる接着剤の代用品ではないことがわかってきます。粘着剤と接着剤との両方の機能を備えつつ、新たな価値も提供しているのが、両面粘着テープなのです。

コラム:女性たちに安心をもたらした、生理用ナプキンの両面粘着テープ

生理用ナプキンは、昔は粘着剤も粘着テープもついていなかったため、ズレて困った経験を持つ女性も少なくありませんでした。
1975年頃から両面粘着テープが付いた製品が開発されるようになり、多くの女性に歓迎されたものです。余談ですが、「生理用ナプキンがズレないようにテープを貼る」という話が日東電工株式会社の社内で発表された時、皮膚の方に貼るのだと勘違いして、「剥がす時、痛いだろうなあ」と本気で心配した男性もいました(もちろん、両面粘着テープは下着面に貼るのです)。
しかし、現在は、両面粘着テープはほとんど使われていません。ナプキンに粘着剤を直接塗って、剥離ライナーを貼ったものが主流になっています。

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