本文へリンク

粘着テープの総合情報サイト Tape Museum

シェア

第7章 私たちの文化・生活とともに 捕まえる(2)

テープの歴史館

捕まえる(2)ゴキブリを捕まえる粘着シートの誕生秘話

ロングセラー商品となった、粘着シートのゴキブリとり

「粘着剤で捕まえる製品」として、すぐ私たちの頭に浮かぶのは、なんといっても「ゴキブリとり」でしょう。
日本で最初に粘着剤を使ったゴキブリとりが発売されたのは、昭和48年(1973年)のことです。アース製薬が〈ごきぶりホイホイ〉という製品名で発売し、爆発的人気を博しました。当時は粘着シートではなく、粘着剤がチューブに入っており、消費者が自分で塗るというタイプでした。

これに刺激を受けて、粘着シートのゴキブリとりの開発が日東電工株式会社で始まりました。チューブで塗るのではなく、はじめから粘着シートになったものをつくろうとしたのです。

日東電工株式会社では、それまでもいろいろな粘着テープ(シート)を開発してきました。しかし、そのどれもが「ゴキブリとり」としては使えませんでした。通常の粘着テープは、指で押すなど圧力を加えることで、ひっつくことが可能になります。しかし、ゴキブリは非常に軽く、粘着テープの上を歩いてもほとんど圧力がかかりません。平気で通過してしまうのです。
柔らかくするには、軟化剤の量を多くする方法がありますが、厚く塗ると流れてしまいます。また、塗った後で溶剤が蒸発すると、気泡ができてしまいます。

そこで日東電工株式会社では、押し出し塗工法を用いました。これは、粘着剤を熱で柔らかくし、機械で押し出して台紙に塗るという方法です。これによって、初めて粘着シートのゴキブリとりができあがりました。さっそく試作品を会社や自宅に仕掛けたところ、一晩で粘着面が埋まるほどの捕獲ができ、関係者は大喜びでした。

こうして昭和49年(1974年)、初の粘着シート状のゴキブリとりが、常盤薬品工業から〈ごきぶりクルクルやかた〉という商品名で発売されました。その後、数社から粘着シートタイプが発売されましたが、当時その多くは日東電工株式会社の粘着シートでした。現在は日東電工株式会社では製造しておらず、各社が工夫をこらした独自の方法で製造しています。

ゴキブリとりは、発売当初は短命商品とも見られていましたが、35年以上たった今日でも広く使われています。

ページトップへ戻る