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開発ストーリー

努力と熱意で生み出す薬物送達の仕組み ―― 粘着テープ製剤

第1章:世界に先駆ける粘着テープ製剤の開発技術

Nittoが有する粘着技術はメディカル分野においても活用されている。その一つとして世界に先駆けて粘着テープ製剤(経皮吸収薬)の開発をおこなってきた。粘着テープ製剤はその粘着剤の中に薬を入れた製剤であり、体に貼ると薬が皮膚から吸収され、毛細血管に入り、血液に乗って全身に回る。結果として薬の効果が発現する。
薬を投与する方法としては、薬を飲んだり、口や鼻から吸入したり、注射したりという方法が挙げられるが、この粘着テープ製剤の利点は、安定した量の薬を体内に供給しやすいということ、投与されていることが目で見て確認できること、副作用等が発生した際に直ちにはがすことが出来るといったことが挙げられる。また、多くの薬を飲まないといけない患者様にとっては、飲み薬を貼り薬に置き換えることで、投与時の負担低減につなげることができる。そういった点から、多くの患者様や看病している周りの方々から喜ばれているが、その開発は容易ではなく、長い歳月をかけた努力と熱意による挑戦の繰り返しが必要なものもあった。

第2章:難関は、必要な時に必要な量の薬を送達すること

皮膚に貼った薬が体内に運ばれる仕組み

粘着テープ製剤においては薬物を粘着剤に含有させるだけでは不十分であり、過去の経皮吸収薬では、薬を長時間にわたって持続的に体内に入れることを求めて開発がなされてきた。粘着剤中に様々な成分を配合する技術はNittoの得意分野であるが、Nittoの開発者たちは、患者様により役立つ、一歩先を目指した製剤を求めた。つまり、持続的な投与だけではなく、さらに進化した経皮吸収薬として、必要な時に必要な量の薬を送達することができる製品の開発を目指し、実現させることを決意した。
しかしそのためには、製剤からの薬の放出速度を厳密にコントロールしなければならない。これは、非常に難しい問題だった。

第3章:執念で見つけた薬の量と濃度

薬の放出速度は、使用する粘着剤の種類、粘着剤の厚み、含まれている薬の量や濃度が複雑に影響しあって決定される。
しかも、医薬品用途に使用できる粘着剤は限定され、選択肢は多くない。そうなると必然的に薬の量や濃度によって放出速度をコントロールしなければならない。
画期的な解決方法などはなく、とにかくいろいろな組み合わせのサンプルを作製し、何度も何度も試行錯誤を繰り返した。今でこそコンピュータを用いたシミュレーションは一部可能となったが、当時はそんな便利なものはない。あきらめずに、どんな可能性も見逃さずに、組み合わせを試していった。
粘り強い試行錯誤の結果、ついに結晶状態の薬と溶けた状態の薬を粘着剤中に、ある一定割合で存在させることで、目的を達成できることを見出した。まさに製品開発に対する執念が実った結果であった。この技術はNittoのオリジナル技術としてその後の粘着テープ製剤の開発に活かされている。
さらに、この執念によって生まれた成果を活かし、具体的に製品化を可能にした、高度なプロセス技術の存在も見逃すことはできない。
例えば、粘着テープ製剤の1製品の粘着層はわずか20μm(0.02 mm)の厚みに設計されている。医薬品であるため品質のばらつきは許されず、製造時において粘着剤層は±2μm(0.002 mm)の高い精度でコントロールされている。
まさに精密塗布技術がこの製品を支えていると言っても過言ではない。

何度も繰り返し行われた実験風景

第4章:やってみて、初めてわかる

目的を実現させるために大切なことは、よく考え、思い付いたことを実行に移すこと、またこれを何度も繰り返すことである。基本的に「ものづくり」とは汗を流し、手を汚して行う泥臭い仕事であり、決してスマートなものではない。またそうであるからこそ完成した時の喜びはひとしおである。
途中で壁にぶつかることもあるが、迷った時はとにかく自分の手でいろいろなことをやってみることである。机上では何も解決しない。
「世界に先駆けた製品」であっても、必ずしも、画期的なアイデアで突然生まれてくるわけではない。本開発の成功事例は「やってみないとわからない」という気持ちを常に持ち続けることが大切であることを、開発者たちに改めて教えてくれている。

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