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特別対談「人財と共に未来を創るNitto流ESG戦略とは」(後編)

現場リーダーの意識改革

川内:冒頭にカスケードダウン方式で上司から部下に自分の言葉で経営方針を伝えられていることや、チャレンジを楽しむ文化を醸成するためには、やはり現場リーダーの役割が重要になってくるかと思うのですが、御社ではどのようなところに力を入れながら育成されているのでしょうか。

大脇:管理職層のエンゲージメントサーベイの結果から、職位が下がるとスコアが下がる傾向があることがわかってきました。これまではプレイングマネージャーが多かったのですが、これからはそのようなリーダーシップスタイルだけでは通用しないと考えています。やはり職位に関係無く、得た気づきから自分が変わろうとしない限り、人は変われないと思いますので、意識改革のために360度サーベイとそれに連動した研修を取り入れながら、自分のリーダーシップのスタイルを見直してもらうきっかけになるよう、働きかけています。

川内:実際に私も他企業様の360度サーベイや研修にご一緒する中で、プレイングマネージャー自身も何をどのように変えればいいのかわからない・戸惑っている、という声を聞くことが多いです。そのあたりはどのようにお考えなのでしょうか。

大脇:もちろん一朝一夕に自分のマネジメントスタイルを変えられないことは理解しています。そのうえで地道に活動を続けることで管理職一人ひとりにいかに気づいてもらうのかが重要だと思います。やはり上司が変わらないと部下も変わりませんから。

守島:私はこれまでの日本における管理職のリーダーシップのスタイルは「我流」なので、企業が社員に求めるリーダーシップスタイルを提示すべきだと言ってきました。より職位が上がると誰も批判してくれなくなりますので、自分のリーダーシップが我流であることに気づくことと、自分のリーダーシップスタイルのなかで、何を残し、何をどう変えて、自分の新たなスタイルを作り上げていくのかが、管理職の成長において非常に重要になってくるのではと考えています。

大脇:繰り返しになりますが、未財務から財務に繋げることや管理職の意識改革も含めて、地道に活動を続ける以外に成果を出す方法は無いと思います。例えば、Nittoではエンゲージメントサーベイを2年おきに実施していますが、その結果は順調に上がってきています。特に2023年度からは海外工場の現場職の方もサーベイの対象に追加したのですが、これも古くから働く人の安全を全てに優先するという考え方を地道に続けてきたからこそ、グローバルでその意識が浸透し、今回のエンゲージメントサーベイの結果につながったと言えるのではないかと思います。

最後に

川内:本日は貴重なお話をたくさんお伺いすることができました。最後に今後の「人財に関するNitto流ESG戦略」の展望について教えてください。

大脇:チャレンジ1つをとっても、それをいかにグローバルで浸透させていくのかが課題ですので、継続して活動に取り組みたいと思います。そのうえで全てのステークホルダーにNittoのチャレンジしている姿をお見せすることができればと思います。そしてなにより、これらの活動を通じて未財務への投資が財務へ繋がっていることをしっかりとお示しできるといいですね。

守島:もちろん今回の未財務KPIのように目標を定めることも大切ですが、継続することの方がはるかに難しいですし重要だと考えています。継続する中でいろいろな声が出てくる場面もあると思いますが、自分たちで決めたポリシーが正しいんだと信じて継続することで期待値がどんどん正統性を帯び、規範となります。続けることが大切です。また今日の全体の議論を通じて、やはり御社はESG戦略についてよく考え抜かれているという印象を持ちました。株主が企業に求めているのは価値創造のストーリーです。御社は未財務から財務に繋げるやチャレンジを楽しむ文化、などのストーリーがしっかりと確立されているからこそ、それが株主に現実感をもって受け止められているのだと思いますし、だからこそ評価が高いのだと感じました。

川内:そうですね。例えば「未財務」や「チャレンジ」のように一般的な言葉であっても、そこにのってくる思いや熱さ、その言葉の背景が全く違うという点が大変興味深かったですね。きっとこれまでの積み重ねられてきた部分もあると思いますし、そこにこだわって取り組まれているのも、まさにNittoらしさですね。

守島:企業としてこれからも同じ状態で居続けることは難しいと思います。やはり企業は時代にあわせて変わっていかないといけないですし、変化は宿命ですから。でも、短期的に方針を変えるのではなく、信じる原則を続けていくのは極めて大切です。いずれそれが現実になるからです。これからのNittoに期待しています。

大脇:ありがとうございます。私が思うNittoらしさとは、あり方は変えないけれども、やり方を時代にあわせて変えていくことだと思っています。これからもどんどんチャレンジに取り組み、みなさんに感動を与えられるNittoを目指していきます。ぜひ楽しみにしていてください。