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企画展 第23回 環境に配慮した低VOCテープ展

Exhibition 23rd

環境に配慮した
低VOCテープ

揮発性有機化合物(VOC)は、環境や人体へ悪影響を及ぼすことがあります。このため各国で規制や対策が進んでいます。
そんな中、Nittoでは環境に配慮したテープの製造に取り組み、完全無溶剤型の低VOCテープを国内で初めて開発。
環境保全や環境の質の向上への貢献が認められる技術や製品に与えられる環境賞*を受賞しています。
*第46回環境賞(国立環境研究所・日刊工業新聞社共催、環境省後援)優良賞受賞
日刊工業新聞 電子版」2019年4月19日付に掲載されました

VOCとは

VOCとは、揮発性有機化合物 Volatile Organic Compounds の略称で、揮発性を有し、大気中で気体となる有機化合物の総称です。VOCの中で、鼻や喉の痛み、頭痛、めまいなどの健康障害を引き起こしやすいものとして、現在、厚生労働省は13物質を指定しています。

13物質に指定されているトルエンは、粘着テープの粘着剤製造工程で必要な材料を溶かす有機溶剤として一般的に使われている材料です。また、健康問題を抑えようとトルエンを使用せずに作られるテープを低VOCテープと呼びます。ただし、一般的な低VOCテープにも酢酸エチルという別の有機溶剤が使用されている場合が多くあります。

厚生労働省の指定する13物質

ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、p-ジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、テトラデカン、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、クロルピリホス、ダイアジノン、フェノブカルブ

ここまでの
まとめ
  • VOCは健康障害を起こしやすくしてしまう物質。
  • テープを作るときにも、そのVOCの1つである
    トルエンが有機溶剤として使われている。
新たな
疑問

有機溶剤やVOCは
他にどんな問題を引き起こすの?

有機溶剤がもたらす問題

有機溶剤使用と
CO2排出の関係

有機溶剤の使用は、種類に関係なくCO2排出の原因になります。有機溶剤を大気放出させないために、脱臭炉で焼却処分することで、CO2が排出されるのです。

VOCに起因する臭いについて

VOCを使用することで、近隣住民に届いてしまう臭気。不快な臭いだけではなく、VOCにより健康障害も発生する可能性。酢酸エチルは環境省の定める特定臭気物質に指定されており、臭気発生の原因の一つであると考えられます。

生活環境を保全、国民の健康の保護に資することを目的とする、悪臭防止法(第2条)に基づいて指定される「不快な臭いの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質」で同法施行令により22物質が指定されています。

特定汚臭22物質

アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、ニ硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、スチレン、キシレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸

ここまでの
まとめ
  • 有機溶剤の焼却処分によりCO2が発生している。
  • VOCの使用により臭気が発生。
      健康障害を引き起こしてしまう可能性もある。
新たな
疑問

VOCとは」で紹介していた、
健康問題を抑えるためにトルエンを使用しない
低VOCテープは環境にいいの?

低VOCテープとは

低VOCテープとは、有機溶剤にトルエンを使わないタイプのテープです。
では、低VOCテープはどのように作られるのでしょうか?

現在、市場に流通している多くの低VOCテープの粘着剤には、トルエンの代わりに有機溶剤の一種の酢酸エチルが使われています。Nittoは有機溶剤を使用せず、を使用した粘着剤を開発しています。

酢酸エチルとは

酢酸エチルもVOCの一種です。

WHO(世界保健機構)によるVOCの分類
沸点 名称 VOCの例と沸点
50℃未満 高揮発性有機化合物(VVOC)Very Volatile Organic Compounds メタン(-161℃)、ホルムアルデヒド(-21℃)、メチルメルカプタン(6℃)、アセトアルデヒド(20℃)、ジクロロメタン(40℃)
50℃以上
260℃未満
揮発性有機化合物(VOC)Volatile Organic Compounds 酢酸エチル(77℃)、エタノール(78℃)、ベンゼン(80℃)、メチルエチルケトン(80℃)、トルエン(110℃)、トリクロロエタン(113℃)、キシレン(140℃)、リモネン(178℃)、Lニコチン(247℃)
260℃以上
400℃未満
半揮発性有機化合物(SVOC)Semivolatile Organic Compounds クロルピリホス(290℃)、フタル酸ジ-n-ブチル(340℃)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(390℃)
400℃以上 粒子状有機化合物(POM)Particulate Organic Matter PCB、ベンゾピレン
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※上記表は、日本自動車工業会(JAMA)のHPに載っています。

トルエンより毒性は低いですが、酢酸エチルも有害です。

トルエン C6H5CH3

蒸気を吸入すると、皮膚刺激、眼刺激、中枢神経系の障害、眠気またはめまいの恐れ、呼吸器への刺激の恐れなどがある。長期または反復曝露による中枢神経系、腎臓、肝臓の障害がある。

酢酸エチル CH3COOC2H5

蒸気は、眼、鼻、咽喉を刺激する。高濃度蒸気の吸入による麻酔作用等、有機溶剤中毒を起こす恐れがある。 健康に有害であり、急性又は慢性中毒の恐れがある。

※上記はSDS(安全データシート)によるものです。

ここまでの
まとめ
  • トルエンを使用せずに作られるものを低VOCテープと呼ぶ。
  • 一般的には代わりに酢酸エチルを使用しているが、酢酸エチルもVOCの1種で特定悪臭物質に指定されている。
  • Nittoの低VOCテープは有機溶剤を使わず、水を使用している。
新たな
疑問

Nittoは有機溶剤を
使用せずにどうやって粘着剤を
開発しているの?

Nittoの低VOCテープ

テープの製造工程

有機溶剤を一切使用しないNittoの低VOCテープ。いったいどのように作られているのでしょうか?

有機溶剤を使用した場合、テープ中に僅かに残った溶剤が揮発し、不快なにおいや、健康障害を引き起こす場合があります。Nittoの低VOC両面テープは、無溶剤(エマルション系)の粘着剤を使用しているため、快適にお使いいただくことができます。

トータルVOCの比較

厚生労働省が指定している13物質以外のVOCも含めたVOCの総量をトータルVOCといいます。Nittoの低VOC両面テープは、エマルション系粘着剤を使用しているため、規制対象物質のトルエンだけでなく、トータルVOCが極めて少量です。

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現在、酢酸エチルは規制対象物質ではないため、テープ中の残存量を意識されていない製品もあります。
ただし、今後の懸念点として、今後の規制、臭気、価格変動(バイオ燃料需要)も挙げられます。

CO2の排出量

溶剤系からエマルション系に替えることで、CO2排出量を大幅に削減することができます。

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上図は、溶剤の製造、テープの製造、乾燥後の処理(脱臭炉or回収)に伴うCO2の排出量の試算したグラフです。回収処理と比較しても10000m2で1320kgの削減になります。その量なんと、日本-ハワイ往復フライトの排出量に匹敵するほどです。

テープに起因する臭気の比較

環境省の定める特定臭気物質22物質を使用しないNittoの低VOCテープを使って、実験を行いました。

  EW-514 OW-5016 従来品 従来品
無溶剤 無溶剤 酢酸エチル 無溶剤
厚み 0.14mm 0.16mm 0.13mm 0.15mm
臭気強度0~5の6段階評価 低い方が○ 無溶剤
0.7
無溶剤
0.6
酢酸エチル
2.2
無溶剤
3.2
快・不快度-4〜+4の9段階評価 高い方が○ 無溶剤
0.1
無溶剤
0.2
酢酸エチル
-0.6
無溶剤
-1.4
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※参考酢酸エチル 放散量2300 ug/g

臭気原因の一つであると言われている酢酸エチルを使用していないNittoの低VOCテープは、臭いも少なく、快適に安心してご利用いただけます

ここまでの
まとめ
  • Nittoでは、トルエンも酢酸エチルも使わないエマルション系
    粘着剤を開発!水と合わせて使用し、環境にやさしいテープを製造している。
  • Nittoの低VOCテープは、健康問題を最小限に抑え、環境にやさしいテープ製造への取り組みを行なっている。
新たな
疑問

水を使っても
粘着性は弱まらないの?

Nitto低VOCテープの
ここがすごい!

下図は、被着体別、温度別、耐反発の特性値をNittoのエマルション系低VOCと溶剤系で比較したグラフです。

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Scroll
Scroll
※エマルション系低VOC:EW-514No.512No.5000E 溶剤系:No.5000NSNo.501L

一般的には水を使用したエマルション系粘着剤は溶剤系に比べると接着力で劣るのですが、Nittoのエマルション系低VOCテープは違います!溶剤系に特性面で劣りません。
サステナブルな製品をお使いいただくことで、お客様とNittoの環境経営に貢献していきたいと考えています。

まとめ
  • VOCを使用した有機溶剤が健康に影響を及ぼし、環境問題を起こしている
  • そんな中開発されたNittoの低VOCテープは、有機溶剤を使用しないため環境にやさしく、
    エマルション系なのに接着力も高い!

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